1兆円の純利益予想~ソニーグループ㈱2021年3月期第3四半期決算短信の感想~
- 佐藤篤
- 2021年2月9日
- 読了時間: 3分
更新日:2021年11月2日
数日前にソニーグループ株式会社(以下ソニー社)の決算が純利益ベースで1兆円を超える見込みというニュースが出ておりましたので、早速2021年3月期の第3四半期決算短信を見てみました。
どのビジネスがどれだけ儲かっているかというようなお話はビジネス誌やWebサイトなどで分析され尽くしていると思いますので、ここでは他に気づいた点を簡単にメモ程度に触れたいと思います。
連結損益計算書(累計期間)を見て最初に目に付いたのは、持分証券に関する利益(純額)が前年同期から大きく増加している点でした。これはソニー社の場合、金融ビジネスも手がけておりますので、そこに係る有価証券関連損益かと思ったのですが、冷静に考えると金融ビジネスの持分証券投資に係る損益は金融ビジネス収入、即ち売上高に計上されるはずですので、ここは金融ビジネス以外での持分証券の損益ということになります。その金額は2,057億円にも上り、さすがあれだけの規模の企業グループともなると金融ビジネス以外での持分証券投資もものすごい額になるものだな、と感心させられた次第です。
次に目に付いたのは法人税等の税金費用がとても少ないという点でした。これについては繰延税金資産の回収可能性を見直した結果として評価性引当額を2,149億円減少させたという趣旨のことが注記されています。
一方で連結貸借対照表見ると負債側の繰延税金が大きく減っています。これは納税事業体ごとに繰延税金の資産と負債を相殺した結果として減ったのだろうと推測しています。
そうした中で、繰延税金負債の中身に何となく興味が湧いたので2020年3月期の有価証券報告書を見てみました。そこの繰延税金負債に興味深い項目を発見しました。エムスリー株式会社(以下エムスリー社)への投資にかかる繰延税金負債が「エムスリー投資」という項目で383億円計上されています。
日本の会計基準上、子会社(関連会社)の投資に係る将来加算一時差異については、配当送金されてその配当額に課税される場合または親会社・その他の関係会社の意思決定で売却が可能で且つ将来的に売却する可能性がある場合には繰延税金負債が計上されるのですが、エムスリー社はソニー社の関連会社であり、配当金は負債利子控除分を除いて全額益金不算入となりますので、おそらく将来的な売却の可能性を見込んで計上しているものと思われます。ソニー社は米国基準を採用していますが、この辺りの取扱いは日本基準と大きくは変わらないでしょう。
決算については以上のとおりなのですが、ふと身の周りを見渡すと、ソニー社の製品を何も持っていないことに気が付きました。昔はウォークマンからテレビ、VAIOのPC等いろいろ持っていたのですが、10年前にテレビを処分してからは何も買っていないような気がします。
このことはソニー社のビジネス自体が変遷したというだけでなく、私自身がソニー社の顧客ターゲットから外れているということの表れでしょう。そう思ったら少し寂しい気分になりました。
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