「リースに関する会計基準(案)」のサブリースの取扱い~「会計・監査ジャーナル」2023年8月号~
- 佐藤篤
- 2023年9月1日
- 読了時間: 3分
「会計・監査ジャーナル」2023年8月号に掲載されている特集『企業会計基準公開草案第73号「リースに関する会計基準(案)」等の概要』を眺めておりました。
以前、弊ブログでリースに関する会計基準(案)の金額基準に触れています。
そこには書かなかったのですが、結構企業側に配慮したなあ、という印象を持ちました。
同様に企業側への配慮が感じられる規定、サブリースを今回は取り上げます。
以下、企業会計基準適用指針公開草案第73号「リースに関する会計基準の適用指針(案)」を「本適用指針案」と言います。
関連定義
サブリースとは資産が借手から第三者にさらにリースされ、当初の貸手と借手の間のリースが依然として有効である取引(本適用指針案第4項(12))。
当初の貸手と借手の間のリースを「ヘッドリース」、ヘッドリースにおける借手を「中間的な貸手」と定義する。
原則的な会計処理
ヘッドリースとサブリースを2つの別個の契約として借手と貸手の両方の会計処理を行う(本適用指針案第85項)。
IFRS第16号においては例外的な取扱いは設けられていない。
我が国における例外的な取扱い
1.中間的な貸手がヘッドリースに対してリスクを負わない場合
会計処理
サブリースにおいて受け取るリース料の発生時または当該リース料の受領時のいずれか遅い時点で、貸手として受け取るリース料と借手として支払うリース料の差額を損益に計上する(本適用指針案第88項)。
要件は以下を全て満たす場合
中間的な貸手は、サブリースの借手からリース料の支払を受けない限り、ヘッドリースの貸手に対してリース料を支払う義務を負わない。
中間的な貸手のヘッドリースのおける支払額は、サブリースにおいて受け取る金額にあらかじめ定められた料率を乗じた金額である。
中間的な貸手は、サブリースの契約条件(サブリースにおける借手の決定を含む。)及びサブリースの借手が存在しない期間における原資産の使用方法のいずれを決定する権利も有さない。
2.転リース
企業会計基準第13号等の定めを変更せずに認める(本適用指針案第89項)
以下、企業会計基準適用指針第16号「リース取引に関する会計基準の適用指針」の転リースに係る規定(47項)を引用します。
リース物件の所有者から当該物件のリースを受け、さらに同一物件を概ね同一の条件で第三者にリースする取引(以下「転リース取引」という。)であって、借手としてのリース取引及び貸手としてのリース取引の双方がファイナンス・リース取引に該当する場合、貸借対照表上はリース債権又はリース投資資産とリース債務の双方を計上することとなるが、支払利息、売上高、売上原価等は計上せずに、貸手として受け取るリース料総額と借手として支払うリース料総額の差額を手数料収入として各期に配分し、転リース差益等の名称で損益計算書に計上する。なお、リース債権又はリース投資資産とリース債務は利息相当額控除後の金額で計上することを原則とするが、利息相当額控除前の金額で計上することができる。
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